犯罪・刑事事件の解決事例
#遺産分割

【遺産分割】弟に財産の9割を渡すという著しく不公平な遺言書の効力を争い、協議により法定相続分に近い割合での遺産分割が成立した事例

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佐藤 絢那 弁護士が解決
所属事務所弁護士法人ガーディアン法律事務所八王子オフィス
所在地東京都 八王子市

この事例の依頼主

70代 女性

相談前の状況

相談者には弟がいまして、母親が亡くなった際の相続人は本人と弟の二人でした。これまで、相談者本人は母親の所有するアパートを30年以上にわたり管理し、また母親の面倒も積極的にみてきました。そして、母親が亡くなった際に、当然、自身が管理してきたアパートは自身が譲り受けるものと思っていたのですが、財産の約9割を長男である弟に譲るという内容の母親の公正証書遺言が残されていました。弟は遺言書通りの遺産分割を望んでおりましたが、どうしても納得できない相談者は当事務所に弟さんとの遺産分割協議を依頼しました。

解決への流れ

公正証書遺言が遺されており、これを覆す、無効にすることは容易ではありません。他方で、遺言書が作成された時期には被相続人である母親が認知症を発症している可能性もありました。遺言書の内容も、長年の相談者の功労に報いるものでは全くなかったので、認知症を発症し正常な判断ができない状況で作成された可能性が否定できませんでした。そこで、弟さんとの協議においては、本人の長年の功労からすれば、この遺言に納得できないということを丁寧に伝えていきました。そのうえで、遺言書の効力には疑問があるため、遺言無効確認の裁判をせざるを得ないと考えていること、しかし、姉弟間で裁判で争うことは望ましいことでは決してないことを主張し、最終的にお互いに裁判を回避するということで意見が一致しました。そして、遺言書がある以上、2分の1ずつというわけにはいきませんでしたが概ね6対4の割合での遺産分割をすることで解決しました。

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佐藤 絢那 弁護士からのコメント

本件は認知症になったあとに作成された遺言書である可能性はありましたが、それを立証できるだけの証拠はなく、あくまでも疑わしいというレベルでした。そして、遺言書の形式も公正証書遺言であったため、裁判で無効にすることはかなり難しい状況でした。そこで、裁判手続ではなく、あくまでも協議で解決すべきと考え、遺言書の有効性について疑義があることを根拠資料とともに指摘をしつつ、姉弟間での紛争化を避け、円満に解決すべきことを主張していき、結果的に遺言書よりもはるかに有利な内容で解決が出来た事案です。紛争の内容や弱み、強みを的確に把握して、適切な解決手段を選択できた事案といえます。