この事例の依頼主
60代 女性
被害者である高齢女性が、原付バイクで道路を走行していたところ、信号機のない交差点で、普通乗用自動車に衝突されて、跳ね飛ばされました。頭を強く打って、外傷性クモ膜下出血などの傷害を負い、病院に入院していました。加害者は、原付バイクが急に交差点に飛び出してきたと主張しました。また、加害者に過失はないとして、加害者任意保険会社からは、被害者への支払はゼロとの回答がなされ、加害者任意保険会社から被害者に対し、治療費すら支払われていませんでした。この段階で、被害者家族から当職に相談がなされ受任しました。
病院での治療後、後遺障害診断書が作成されましたが、最初に作成された後遺障害診断書には、他覚所見が少ししか記載されていませんでした。そこで、当職の方から主治医に対し、「他覚所見の欄に、①意識消失の有無②MRIの診断結果③神経心理学的検査の結果④家族からの聞取結果を詳しく書いていただきたい。」旨の要請文を送付しました。すると、主治医によりとても丁寧に記載された後遺障害診断書が作成されました。そこで、自賠責に被害者請求をしたところ、後遺障害等級2級(高次脳機能障害)が認定され、自賠責保険金が入金されました。当職は、すべての刑事記録を取り寄せました。特に、交通事故現場見取図を詳細に検討しました。原付バイクの擦過痕や停止位置などから、原付バイクが先に交差点に入り、ゆっくりとしたスピードで走行していた際に、自動車がかなりのスピードで交差点に進入し、原付バイクと衝突後、原付バイクが進行方向の真横より少し左斜めに跳ばされたと考えました。原付バイクのスピードが速ければ、原付バイクの真横より左斜め方向にある壁に衝突していた筈です。その後、当職は、地方裁判所に裁判を起こしました。当職は、事故状況を明らかにするために、H交通事故鑑定人に鑑定を依頼しました。H鑑定人の鑑定結果は、当職の考えとほぼ同じのものでした。加害者側も鑑定人の鑑定書を提出してきて、本格的な争点になりました。さらに、裁判所も鑑定人を選任して、鑑定書が提出され、合計3通の交通事故鑑定書が提出されました。裁判所の選任した鑑定人の鑑定書には、被害者が猛スピードで交差点に進入したと記載されていました。この鑑定書などを巡って激しいやりとりが繰り広げられましたが、当職は、この鑑定書の矛盾などを厳しく指摘しました。訴訟提起して2年近くが経過して、交通事故鑑定に関する議論が尽きた後、裁判所から和解案が提案されました。そこでの過失割合は、被害者35%加害者65%でした。過失割合が逆転したのです。双方とも裁判所の和解案を受け入れ、和解が成立しました。最終的に、自賠責保険金と裁判上の和解金を併せて約5700万円の損害賠償金を取得することができました。
加害者の保険会社からは、交通事故鑑定書や医学鑑定書等が提出されますが、安易に信用することはできません。保険会社の言うことを鵜呑みにする人が多いのですが、それは大きな損害です。交通事故が起きたら直ぐに当職の無料法律相談を受けてください。頭部外傷や脊髄損傷などの重症の場合、無料で出張法律相談を致します。