この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
Aさんは、元交際相手への嫌がらせ行為を繰り返したため、被害者が犯人不明の状況で警察に被害届を提出しました。警察はAさんが犯人であると考えAさんの職場を捜査しました。Aさんに対する警察からの呼び出しはありませんでしたが、Aさんは自分が疑われていることから、迅速な対処を求めて当事務所に刑事弁護を依頼しました。
解決への流れ
当事務所の弁護士チームは、直ちにAさんにとって有利な事情をまとめた供述書を作成する一方で、すでに警察がAさんを犯人と内定しているため、反省の態度を示す方針を立て、弁護士が付き添って警察へ出頭させるという対応をとりました。すでに警察ではAさんが犯人であると内定していたため「自首」の成立が否定されうる事案でしたが、警察はAさんが自ら出頭したことを有利な情状ととらえ、これを自首として取り扱うというAさんに有利な判断をしました。さらに、速やかな示談交渉への着手が功を奏して被害者との示談に至り、また、Aさんに有利な情状を揃えて、検察官へ軽い刑事処分を求める意見書を提出するなどの弁護活動を行った結果、Aさんへの処分を罰金処分にとどめることができました。その後、弁護士が同席のうえで職場で事情を説明し、上申書を提出するなど、Aさんの職場復帰に向けた活動を行ったことなどで、Aさんは無事に職場復帰を果たすことができました。
近時、交際相手への嫌がらせに対しては厳罰が科される傾向があり公判請求(正式裁判)の可能性が大きい事案でしたが、迅速な判断と行動が功を奏して罰金処分にとどまり、また、その後のフォローにより依頼者の方の職場復帰も可能となりました。刑事弁護では、できるだけ軽い刑事処分にとどめるという活動も重要ですが、日常生活への復帰という視点を持った活動もまた重要であることが再確認されたケースでした。