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今泉佑唯「子どもの写真撮られるの怖い」切実な訴え 家族持つ芸能人「無断取材」は許されるのか?
2025年10月22日 10時18分
#今泉佑唯 #欅坂

芸能人の家族のプライバシーはどう守られるのか。元欅坂46でタレントの今泉佑唯さんが、自宅周辺での張り込みや撮影行為に対し、「本当にやめていただきたい」「知らない方に子どもの写真を撮られるのはとても怖い」とX(旧Twitter)で切実に訴えた。

「小さな子どもがいるため、自宅周辺での張り込みや撮影行為は本当にやめていただきたいです」「ただ普通の日常を送っているだけですので、どうかご理解とご配慮をお願いいたします」(10月18日の投稿)

実は、今泉さんは2022年10月にも悩みをブログにつづるなど、長年にわたり、自宅周辺での張り込みや無断撮影に苦しんできたようです。家族の無断撮影をめぐっては、お笑い芸人の有吉弘行さんや歌手の福山雅治さんも同様の発信をしてきた。

家族を持つ芸能人の「張り込み」や「無断取材」は、法的にどこまで許されるのか。芸能人の悩みにも対応している河西邦剛弁護士に聞いた。

芸能人の家族のプライバシーはどう守られるのか。元欅坂46でタレントの今泉佑唯さんが、自宅周辺での張り込みや撮影行為に対し、「本当にやめていただきたい」「知らない方に子どもの写真を撮られるのはとても怖い」とX(旧Twitter)で切実に訴えた。

「小さな子どもがいるため、自宅周辺での張り込みや撮影行為は本当にやめていただきたいです」「ただ普通の日常を送っているだけですので、どうかご理解とご配慮をお願いいたします」(10月18日の投稿)

実は、今泉さんは2022年10月にも悩みをブログにつづるなど、長年にわたり、自宅周辺での張り込みや無断撮影に苦しんできたようです。家族の無断撮影をめぐっては、お笑い芸人の有吉弘行さんや歌手の福山雅治さんも同様の発信をしてきた。

家族を持つ芸能人の「張り込み」や「無断取材」は、法的にどこまで許されるのか。芸能人の悩みにも対応している河西邦剛弁護士に聞いた。

●芸能人の子どもの無断取材は「もはや“取材”」と言えないのでは

最高裁の判例でも、取材の自由は憲法上、十分尊重に値するとされています。 しかし、それは取材の先にある報道に意義があるからだと思われます。

有名芸能人に薬物疑惑があれば、逮捕現場を撮影しようと自宅前の公道上に取材カメラが並ぶことはあります。近隣や本人への迷惑はありますが、公道上から外観を撮影している限りでは、取材の範囲内であり、プライバシー権侵害とは言いにくい部分があります。

しかし、芸能人の家族、特に子どもに対する撮影は、もはや取材とは言うことができず、上記の「取材」とは切り分けて考える必要があるかと思います。

まず、取材であろうが無断で自宅敷地内に立ち入れば、建造物侵入罪や不退去罪に問われる可能性があります。また、プライバシー権を侵害していれば、民事の損害賠償責任を負うことになります。

芸能人のなかには、自らの公式SNS等で、子どものことに言及したり、子どもの写真を投稿する人もいます。しかし、それはその家族が自らの判断のもとに自らの責任でおこなったことです。

それに対して、メディア側が芸能人側に無断で、その家族について撮影・報道することは、報じる意義のある「取材」だと位置付けられないのではないでしょうか。

なぜ撮影するのかと言えば、それは週刊誌であれば販売部数を伸ばすためであり、配信者であれば、再生数やインプ数(表示回数)を稼ぐためであり、総じて注目を集めるためです。

プライバシー権侵害は犯罪ではありませんが、民事上の違法行為により利益を得るというのは、悪質なケースでは「犯罪収益」と構造的に近いものすら感じます。

このように、芸能人の子どもを撮影することは、表現の自由の延長として位置づけられている取材の自由とは別といえるかと思います。

●芸能人本人のプライバシー権を侵害している

プライバシー権とは、(1)私生活上の事実または事実らしく受け取られる可能性のある事柄であり、(2)公開されておらず、(3)一般人の感受性を基準とした場合に公開を欲しないことを言うとされています。

プライバシー権というのは、通常、その本人、つまり芸能人の子どもが撮影されたときは、その子どものプライバシー権を侵害したかどうかで判断します。

そして、公道上での写真撮影は基本的にプライバシー権侵害はないと判断されています。実際、お天気カメラでは、毎日、多数の通行人がテレビで放送されています。

しかし、芸能人の「子ども」として、芸能人の親と結びつけて注目を集めようとしている場合には、親である芸能人の私生活に関する事柄であることから、親のプライバシー権を侵害していると構成できるかと思われます。

このような法律構成で芸能人の子どものプライバシーを守っていくための法的土台を創ることが必要かと思われます。

●プラットフォームによる自主規制

現在、メディアに関する法律としては放送法があります。テレビ・ラジオに特別な法律がある理由は、有限の電波について国が誰に免許を付与するか決める枠組みが必要になるからです。

新聞、週刊誌、ネットメディア、さらには個人のYouTuberや配信者を規制する法律はありません。

新聞、週刊誌、ネットメディアには、複数の人間がファクトチェックする機能があり、差異はあれど一定の編集機能があります。また、重大な誤報があれば、役員や幹部の解任や懲戒処分となり、自浄作用があります。

しかし、個人のYouTuberや配信者には、複数人によるファクトチェックがあるかも不明で、あるとしてもどこまで機能しているかわからず、影響力の大きさに関わらず一般的な刑事・民事の責任を負うのみです。

配信者が最も恐れるのはアカウントの凍結・停止であり、YouTube、Xを始めとする各プラットフォームが、配信者の生殺与奪の権限を握っています。

しかし、国が各プラットフォームを監督規制する枠組みはなく、各プラットフォームと配信者との関係も一定のルールはあるものの、実際の運用実態は不透明です。

政治、エンタメ、経済、社会、あらゆる領域で影響力の増すネット上のプラットフォームですが、各プラットフォームで自主ルールを定め公開することが重要かと思われます。

例えば今回のような芸能の領域では、「芸能人の家族を掲載する行為は禁止とする」というルールを作成し表示していくこと、違反者のアカウントを凍結していくことが現時点でまずは必要かと思われます。

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