12642.jpg
夫の歯ブラシで便器掃除、「旦那デスノート」で話題に もはや犯罪では?
2020年02月01日 09時19分

夫に死んで欲しいという願いを書きこむウェブサイト「旦那デスノート」。過激な書き込みも多くみられますが、そこに書かれた「復讐方法」が犯罪行為ではないかとツイッターで話題になりました。

例えば、夫の歯ブラシを掃除に使うというのは、定番の「復讐方法」のようです。サイトには「あまりにも腹が立ったから、旦那の歯ブラシでトイレとお風呂の排水溝、洗面所の排水溝を掃除したよ♪」、「洗面所&便器の掃除、やってみました!いや~気分爽快っすね!」といった書き込みが相次いでいました。

他にも「飲み物に雑巾の絞り汁をたくさん入れる」、「コンタクトレンズケースにハイターを落とす」など様々な「復讐方法」がシェアされていました。

さすがに実際にはやっていないと信じたいですが、こうした行為は夫婦でも犯罪になるのでしょうか。坂野真一弁護士に聞きました。

夫に死んで欲しいという願いを書きこむウェブサイト「旦那デスノート」。過激な書き込みも多くみられますが、そこに書かれた「復讐方法」が犯罪行為ではないかとツイッターで話題になりました。

例えば、夫の歯ブラシを掃除に使うというのは、定番の「復讐方法」のようです。サイトには「あまりにも腹が立ったから、旦那の歯ブラシでトイレとお風呂の排水溝、洗面所の排水溝を掃除したよ♪」、「洗面所&便器の掃除、やってみました!いや~気分爽快っすね!」といった書き込みが相次いでいました。

他にも「飲み物に雑巾の絞り汁をたくさん入れる」、「コンタクトレンズケースにハイターを落とす」など様々な「復讐方法」がシェアされていました。

さすがに実際にはやっていないと信じたいですが、こうした行為は夫婦でも犯罪になるのでしょうか。坂野真一弁護士に聞きました。

●体調不良→「傷害罪」に

ーー便器掃除をされた歯ブラシを使うと、体にも影響がありそうです。

そのようなことが実際にあれば非常に恐ろしいですね。

歯ブラシによる便器掃除により、細菌やウイルスが歯ブラシに付着し、その結果、夫の体調が悪化した場合には、傷害罪(刑法204条)に該当する行為と考えられます。法定刑は15年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

傷害罪は通常、物理的な有形力(暴力など)によって生じますが、判例上は、例外的に無形的な行為による傷害罪も認められています(平成24年1月30日最高裁決定)

また、便器が清潔ではないことは妻の側も当然認識していますから、歯ブラシによる便器掃除が原因で夫に何らかの体調不良が生じることまでの認識・認容があるといえます。したがって、傷害罪の故意も認められるでしょう。

ーー体調に変化がなかった時は、どう考えられるのでしょうか。

体調不良の結果が生じない場合、傷害罪は成立しませんし、暴行罪にも該当しません。また、妻が夫の歯ブラシで便器掃除をしていることを証明することも、簡単ではありません。

現実的には犯罪に問われる可能性が高いとまでは言えませんが、夫が体調不良を起こした場合、夫の仕事に差し支えたり、看病の手間が余計にかかったりする可能性がありますので、実際に行うことは避けるべきでしょうね。

●歯ブラシを「損壊」→器物損壊罪に

ーー自分の歯ブラシを掃除に使われたら、もう使いたくないですね。

歯ブラシで便器掃除を行った場合、社会通念に照らせば、事実上または感情上、歯ブラシとしての本来の使用目的で使うことはできなくなります。

器物損壊罪(刑法261条)でいう「損壊」とは、判例上、「物質的に器物そのものの形体を変更または滅尽させる場合だけでなく、事実上または感情上その物を本来の目的に供することができない状態にさせる場合を含む」とされています。

したがって、歯ブラシで便器掃除を行う行為は、器物損壊罪にも該当する行為といえます。

器物損壊罪の法定刑は3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料です。なお、器物損壊罪は親告罪(刑法264条)ですので、告訴が必要となりますし、歯ブラシの経済的価値はわずかなので、実際に処罰される可能性は低いと思われます。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る