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「知らないうちに服を脱がされた」公然わいせつ罪問われた被疑者の弁解 弁護人は本当に信じている?
2025年10月22日 10時07分

公の場で裸になるなどして「公然わいせつ」の容疑で逮捕される事例は後を絶ちませんが、なぜ裸になっていたのかということの理由はさまざまです。

最近だと、2025年8月末、富山県の路面電車内で全裸となり、下半身を露出したとして、男性(55)が公然わいせつの疑いで現行犯逮捕されたという報道がありました。

男性は「知らないうちに服を脱がされた」と、容疑を一部否認していたそうです。一般的には「苦し紛れの言い訳」に聞こえるかもしれません。では、このような一見不合理な弁解に対し、刑事弁護を担当する弁護人はどのように対応するのでしょうか。

公の場で裸になるなどして「公然わいせつ」の容疑で逮捕される事例は後を絶ちませんが、なぜ裸になっていたのかということの理由はさまざまです。

最近だと、2025年8月末、富山県の路面電車内で全裸となり、下半身を露出したとして、男性(55)が公然わいせつの疑いで現行犯逮捕されたという報道がありました。

男性は「知らないうちに服を脱がされた」と、容疑を一部否認していたそうです。一般的には「苦し紛れの言い訳」に聞こえるかもしれません。では、このような一見不合理な弁解に対し、刑事弁護を担当する弁護人はどのように対応するのでしょうか。

●弁護人は「嘘」だと決めつけない

刑事弁護人の基本姿勢は、被疑者の話を「嘘だろう」と最初から決めつけないことです。

これは、弁護人が被疑者の言うことを何でも鵜呑みにする、という意味ではありません。しかし、過去の冤罪事件の例を見ても、最初は誰も信じなかった被疑者の主張が、実は真実だったというケースは少なくありません。

もし弁護人までが「不合理だ」「ありえない」と偏見を持って話を聞かなければ、冤罪を防ぐための最後の砦が失われてしまいます。

だからこそ、弁護人は「逮捕されたからには何か悪いことをしたに違いない」といった世間の見方や偏見を排し、まずは冷静に被疑者の主張に耳を傾けることが求められます。

●「知らないうちに」は本当にありうるのか?

では、被疑者の「知らないうちに服を脱がされた」という主張を検証するために、弁護人はどのような具体的な事実を確認するのでしょうか。

弁護人は、被疑者の主張をもとに、たとえば以下のような可能性を一つずつ丁寧に探っていきます。

泥酔や薬物の影響: 泥酔や適法・違法な薬物の影響で、意識がない、あるいは記憶が飛んでいる間に服を脱いでしまった(または脱がされた)可能性はないか。

精神疾患や病気の症状: 被疑者に自覚のない精神的な疾患や病気の症状で、無意識のうちに行為に及んでしまった可能性はないか。

第三者からの強要: 他者から服を脱ぐよう強要された、あるいは睡眠薬などを盛られ、知らないうちに脱がされたという可能性はないか。

報道の目撃情報や逮捕時の状況(運転手や署員の証言)が本当に正確な描写なのかも含め、「電車に乗る前から逮捕されるまでの間に何があったのか」を細部まで聞き取り、事実を確認していくのです。

●有罪の立証責任は検察側にある

もちろん、被疑者・被告人がとうてい認められないような不合理な弁解に終始することもあります。

しかし、刑事裁判では「疑わしきは被告人の利益に」という大原則があります。有罪を立証する責任はあくまで検察官側にあるのです。

「衝突の中から真実が生まれる」などといわれることがあります。これは、弁護側が可能な限りの反論を尽くし、検察官の立証と徹底的に照らし合わせる(衝突する)ことで、初めて疑いようのない事実が証明され、刑罰という不利益を科すことができるという考え方です。

たとえ世間から冷たい評価をされ、誹謗中傷を受けることがあっても、刑事弁護人は、この原則に基づき、被疑者・被告人の主張に耳を傾け、可能な限りの弁護活動を行う責務があります。もちろん、だからといって虚偽の証拠を提出したり、偽証を促したりできないことはいうまでもありません。

それは、弁護人が、無罪の者を処罰するという「最悪の事態を避けるための最後の砦」として機能するためです。刑事弁護の仕事は、偏見なく事実を聞き、真実を闇の中に葬らせないよう一つ一つの事実を確認していくことから始まります。

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