日本弁護士連合会(日弁連)は4月4日、地方消費者行政の推進について「具体的かつ実効性ある施策を速やかに展開すべき」とする会長声明を発表した。
声明では、消費生活相談員の人件費に活用できる地方消費者行政強化交付金が2025年度末で多くの地方公共団体で終了を迎えることから、財政の厳しい自治体では「相談体制が維持できなくなるおそれがある」と指摘している。
●深刻化する地方の消費生活相談体制
政府は3月18日に閣議決定した第5期消費者基本計画で、地方消費者行政を「消費者政策の基盤」と位置づけ、「消費生活相談の担い手確保が深刻な課題」と認識を示した。
基本計画では「地方公共団体の努力によって築き上げられた行政サービスの水準が低下することのないよう適切な対策を講ずる」との方針も掲げている。
日弁連は、これらの方針自体は「基本的に評価できる」としつつも、具体的な対策が急務だと訴えている。
声明では相談員の地位についても問題視している。会計年度任用職員制度の導入に伴い、雇用期間の更新回数制限を設ける地方自治体が2018年度の13.3%から2024年度には34.7%に急増していることに触れ、「相談員の人材確保に困難を来す大きな原因となっている」としている。
●求められる具体的な対策は?
日弁連は対策として、2026年度以降も消費生活相談員の人件費に活用できる交付金措置の継続や、更新回数制限(雇止め)の抑止に向けた実効性ある働きかけ、地方財政法第10条の改正による国の恒久的負担の仕組みの検討、消費生活相談員の高度な専門性に見合った専門職任用制度の検討などを求めている。
また声明は、交付金措置の終了が「高齢者見守りネットワーク」や「適格消費者団体の活動支援」など地方消費者行政全般の縮小・後退につながりかねないとも指摘。超高齢社会において埋もれがちな消費者被害を見逃さないためにも、「国は地方消費者行政の取組に対し、一層積極的な財政支援を行うべき」と強調している。