迷走する司法制度改革、検証なき20年を振り返る 消えた法曹3000人構想、本命化する予備試験…
1990年代に始まった司法制度改革は、ロースクール制度に始まる法曹養成の現状を見るだけでも明らかに迷走している。そもそも、この改革は国民にとって司法を身近にしようと始まった議論だ。
この改革審議会委員で中心人物ともいわれる元日弁連会長・中坊公平氏は、「2割司法の改善」を訴えた。2割司法とは、法律関連のトラブルに遭った人のうち、2割しか司法サービスにアクセスできず、8割は泣き寝入りをさせられていることをいう言葉で、中坊氏は折に触れ言及していた。
そして、2000年に中坊氏が「年3000人合格構想」をぶち上げた。当時、目標とされていた合格者数は約1500人。倍となる数字の提案に、審議会では激論がかわされ、審議会長の佐藤幸治京都大学名誉教授を中心に意見書をまとめた。2年後、法案が成立。合格者数はピークでも2000人程度にとどまり、今年は1781人。結局、改革前と同程度に収まっている状態だ。
かつて描いた理想は、どこにいったのか。政府を挙げて掲げた政策が迷走しているにもかかわらず、抜本的な改革に向けた議論はいまだ見えてこない。
